日常日記

店長の日常

10時30分に起きる。
お酒がまだ体に残っていた。昨日、高校時代からの友人である「てっちゃん」と東神奈川にあるスパ施設「インスパ」に行き、二人で瓶ビールの中瓶を6本空けた。ランチバイキングの会場でランチを食べながら4本のみ、そのあとは、外のテラスで2本飲んだ。外は暑かったけれど、よい風が吹いていて、日陰にいる分には、とても快適だった。ビールがとても美味しく感じた。お酒を飲むようになったことは、てっちゃんにもとても好評であった。「以前のお前が戻ってきてくれてうれしいぜ」とまで言ってくれた。昔はよく、てっちゃんと夜のネオン街で朝方まで飲んでいたものだった。

ぼくは、その日のコンディションにもよるけど、お酒を飲むと、とても気分がよくなり、饒舌になる。でも、それがために、調子に乗って、軽口を叩き、失礼千万なことも平気で口に出してしまうことも多い。でも、言っているときには、楽しい気分で場を盛り上げようと思って言っているから、自分が失礼なことを言っているという自覚はほとんどない。翌朝になって、前日の夜に発した言葉が思い出され、ぼくに襲いかかってきて、「あんなことを言うなんて、お前はとんでもない、最低の人間だ」とぼくを責め立ててきて、ぼくは布団の中で、ひとり、「うーーー」と唸る。でも、てっちゃんは、35年の付き合いで、ぼくのことをよく知っているから、そういう心配なく、気楽に飲める。ぼくが何か偉そうなことを言っても、興味がなければ、適当に受け流してくれ、興味があったときには「それ面白いな」と言ってくれる。てっちゃんはよいやつだなあとつくづく思う。
インスパのあと、てっちゃんは日ノ出町のストリップ劇場「ロック座」に行こうかどうか迷っていたから、もし行くなら、一緒に日ノ出町まで帰る予定だったのだけど、結局、てっちゃんは行かないというので、だったらエイジャオープンの時間までもう少し時間があるから、近くの居酒屋に飲みに行こうということになった。そのお店は、大将とその彼女さんの二人で切り盛りしているお店で、なんどか飲みに行ったことがある場所だった。てっちゃんと二人でカウンターで飲んでいると、あとから常連の男性がきて、大将とその彼女さんも入れて、5人でいろいろな話で盛り上がった。その男性は40代半ばで、学生時代は応援団に所属していたそうで、その時の話がとても興味深かった。大学の応援団は、ある意味、現代の奴隷制みたいなものということだった。応援部には、代々引き継がれている仕事があって、そこに駆り出されるのだそうだけど、バイト代は、雀の涙程度しかもらえないと言っていた。「どうして好き好んで、そんな部活動に入ったのですか」と聞くと、その男性は、高校時代に自分よりも優秀な生徒に囲まれたことで、「自分には誇れるものが何もない」というコンプレックスを抱き、そのコンプレックスの解消のため、高校、大学と応援団に入ったということだった。ただ、大学の応援団は相当きつかったらしく、「もし今の記憶を保持したまま過去に戻ることができたら、応援団には入らなかった」と言っていた。

居酒屋では、ぼくはまた、空気を読めない発言を連発してしまっていたようで、てっちゃんに「お前はほんとに空気が読めないな」と言われてしまった。空気が読めない人間は、無理に場を盛り上げようとしたり、人を楽しませようと面白いことを言おうとしないほうがよいのかもしれないと思った。

その居酒屋をでたあと、元気なてっちゃんは「よし!これからストリップに行くぞ!」と言ってきたのだけど、ぼくはすでにへべれけで、フラフラになっていたから、「こんなに酔っぱらっていたら、たぶん、入場はできないんじゃないか?」と言った。ストリップ劇場は、この点、すごく厳しいと教えてくれたのは、てっちゃん自身であった。てっちゃんは、何度か酔っぱらって行って、入場を断られた経験があるということだった。てっちゃんは、飲んで暴れたり、はしゃいだりする人間ではないから、ストリップ劇場は酔っ払いにそんなに厳しいのかとちょっとびっくりした。てっちゃんは、「おれは、あそこのストリップ劇場に嫌われているのかもしれない」と言った。続けて、「踊り子の女の子のほうが、『どうして、てっちゃんは入れないのですか?』とフォローしてくれているんだよ」と言い、「お前は、踊り子の女の子と顔見知りなのか?」と驚きながら聞くと、「ああ。一時期は結構、通っていたからな」と、得意げに言った。ぼくは、「すげーな!」と心底から、感嘆の声をあげた。

結局、行ってみて入れなかったら寂しいということで、てっちゃんとはそこで別れ、ぼくは「京急日ノ出町」の駅から電車に乗って帰り、お店についたら、バタンキューで倒れ、そのまま寝た。