日常日記

店長の日常

オープン準備をしていたところ、ご予約のキャンセルが入り、急遽お休みに。でも、特にやることがないのでまた寝ることにし、次に起きたのは午後2時であった。

昨晩、深夜、以前から気になっていた「茜色に焼かれる」をネトフリでみた。2時間30分もある映画だから、とりあえず、30分くらいみるつもりがストーリーに引き込まれ、一気にみてしまった。映画の最初のほうで、尾野真千子演じる主人公「田中良子」が、夏目漱石の「行人」の中にあるセリフを引いて「まともに生きてたら、死ぬか、気が違うか、そうでなければ宗教に入るか、この3つしかないでしょ」というセリフを、中学生の息子に言い、何を言っているのか理解できない息子に、「知らないの?夏目漱石の言葉。日本人なら夏目漱石くらい読まなきゃ」と言っていた。この映画は、この「まともに生きてたら、死ぬか、気が違うか、そうでなければ宗教に入るか、この3つしかないでしょ」というセリフが映画の最初から最後まで通底しているように感じた。つまりは、ぼく好みの映画であったということだ。とても感動した。

この世界でまともに生きるということは、「世間一般の価値観を頑なに守る」と言ってもよいかもしれない。けれども、このような生き方は、大抵の人にとって、苦しみを伴うものなのではないだろうか。方丈記にある通りに。

 

世に従へば、身、苦し。従はねば、狂せるに似たり

 

この世界で、まともさを保つためには、「世の常識に従いつつ、世の常識に外れたことも、世の常識を大切にしながら享受する」ということになるのではないだろうか。ぼくがエイジャの経営で目指しているのも、カップル喫茶という、世の常識からすればいくぶん(ずいぶん?)外れている世界において、世の常識を世間一般が求めている水準以上に最大限生かしていき、世の中が理想としている社会を、エイジャという限定された空間の中で実現できないだろうか?ということなのだけど、ここまで書いてきて、また堅苦しいことを書いてしまったのではないかと、一抹の不安を感じ、あとで恥ずかしくなってまた削除することになる気がするのであった。